リンカクのない家

 

この住宅は、敷地いっぱいにうずまき状のヴォリュームが配置され、敷地内にうずまき状の空地(外部空間)をつくる。

これにより内部空間は、敷地外の隣接する空地とうずまき状の空地によって挟まれている。

 

一般的な住宅地では、建物は敷地内の空地に囲まれている。

特に低建蔽率の地域では、空地の割合が大きくなるので、ガレージや庭、樹木、低木、室外機、自転車置き場などの用途が配置されている。

 

しかし、それらの用途は方位や接道の仕方によって決定されることが多いために、ほとんどの空地で似たような用途の配置がなされている。

このことにより、空地と建物によって形式化された「敷地のリンカク」がつくりだされ、同時に敷地境界という法的に決定された断続線が強調されてしまっている。

 

これに対して、このうずまき状の建物は、敷地の内と外に空地をもつことによって、建物と空地によりつくられる「敷地のリンカク」

は消え、隣接する敷地へと広がる新たな全体を獲得している。

 

PRIZE

第11回タキロン・国際デザインコンペティション 3等賞

 

PUBLICATION

新建築2000年3月号