空間の広がりを調整する「建具」と「家具」
都市型二世帯住宅としてのリアリティ
敷地は都内近郊の住宅地にある30坪の土地で、通過交通のない入り込んだ街区の南と西に接道した角地に位置する。周辺には築30年を超す2階建てに立派に手入れの施された庭を持つような邸宅から、本物件と同時期に販売・建設された真新し3階建てまで、新旧の都市型住宅が混在している。
建て主は60歳代の夫婦二人で、今回の計画は息子家族の3人との同居するための二世帯住宅で、設計段階における建て主からの要望は、以下のようなものであった。
これに対して、敷地は第一種低層住居専用地域の建蔽率60%(角地緩和により70%)、容積率150%という法的な指定の元にあるため、各スペースを動線効率の良い配置とすることで廊下などを最小限とする計画が求められていた。
そこで、例えばLDと寝室をつなぐ空間を動線のための廊下とするのではなく家具や造作類によってキッチンとして設えるなど、続き間を前提としたプランニングとした。
また、比較的小さな各スペースが、建具の開放時にはひとつながりの大きな空間となるよう大きな建具を使用することで、空間のサイズを生活の場面ごとに調整できるように計画した。
このような続き間や建具・家具の考え方をする事で、住宅を構成する要素が多く、各スペースが矮小化しがちな都市型二世帯住宅というビルディングタイプに対して、住宅としてのリアリティと全体性を獲得できるのではないかと考えている。
DATA
所在地 :東京都目黒区
主要用途:2世帯住宅
工事種別:新築工事
竣工年月:2009.03
PUBLICATION
積算資料ポケット版2009年後期