複数の建築家による各棟ごとにテーマを設定した分譲住宅計画。
その中で我々が担当したのは「モダン和風」。
位置指定道路の末端で旗竿敷地に建つこの建物では、公道から玄関へ至る過程の中で、空間の質が段階的に変化していく。
パブリックな空間から「向こう三軒両隣」的領域になり、プライベートな外部空間となり、最後に内部空間へ至る、というように。
この状況に対し、軒下の半外部的な場所を設け、また繊細なルーバーで建物を覆うことで、街に対して堅牢な断絶或いは悪戯な開放感を示すのではなく、空間の質の変化に合わせるような体験的な奥行き感,或いは街と住宅の緩やかな間合いが作り出すことを意図している。
内部では「土間」と名付けた玄関と2階のLDKとが立体的なワンルームとなり、玄関を空けると開放的な2階から光が導かれる。
これにより、アプローチと内部の構成が相まり、空間の広がりに序破急の変化が付けられていく。
このように、アプローチを含めた全体を広義的にひとつの家として捉えることが単なる「演出」としてだけではなく、住宅としての「価値」に付与する方法となればと考えている。
DATA
所在地 :東京都
主要用途:個人住宅
工事種別:新築工事
竣工年月:2010.08